簿記3級 決算整理仕訳の一覧|第3問で問われる8論点
決算整理仕訳は、第3問(35点)の心臓部です。期中の記録を、決算日時点の正しい姿に直すための仕訳で、出る論点はほぼ決まっています。
ここでは3級で問われる主な決算整理を論点ごとに整理します。型を丸暗記するより「なぜその仕訳になるか」を押さえると、数字が変わっても解けます。
① 売上原価の算定
期首・期末の在庫を調整して、その期に売れた分(売上原価)を確定します。売上原価を仕入勘定で計算する場合、期首商品を繰越商品から仕入へ、期末商品を仕入から繰越商品へ振り替えます。
覚え方は「しいくり くりしい」。借方 仕入/貸方 繰越商品(期首分)、借方 繰越商品/貸方 仕入(期末分)です。
② 貸倒引当金の設定(差額補充法)
売掛金・受取手形などの期末残高に対して、回収できないかもしれない分を見積もって引き当てます。3級では、必要額と既存残高の差額だけを補充する差額補充法が基本です。
借方 貸倒引当金繰入(費用)/貸方 貸倒引当金。必要額が既存残高を下回る場合は、貸倒引当金戻入で戻します。
③ 減価償却(定額法)
建物や備品など固定資産の価値の目減りを、その期の費用として配分します。3級は定額法。1年分は(取得原価−残存価額)÷耐用年数で求め、期中に取得した資産は月割りします。
借方 減価償却費(費用)/貸方 減価償却累計額。間接法で累計額に積み上げていきます。
④ 経過勘定(前払・前受・未払・未収)
費用・収益を、当期に対応するぶんだけに直します。次の4つがセットです。
- 前払費用:払いすぎた費用を資産として繰り延べ(借方 前払費用/貸方 費用)
- 前受収益:もらいすぎた収益を負債として繰り延べ(借方 収益/貸方 前受収益)
- 未払費用:まだ払っていない当期の費用を計上(借方 費用/貸方 未払費用)
- 未収収益:まだ受け取っていない当期の収益を計上(借方 未収収益/貸方 収益)
⑤ 現金過不足の整理
期中に把握していた現金過不足は、決算で原因が判明した分を該当科目へ振り替え、不明のままの分を雑損(費用)または雑益(収益)へ振り替えて精算します。
⑥ 当座借越の振替
当座預金が貸方残高(マイナス)のまま決算を迎えたら、その分を当座借越または借入金(負債)に振り替えます。借方 当座預金/貸方 当座借越、という形で貸方残高を解消します。
⑦ 貯蔵品への振替
購入時に費用処理した郵便切手(通信費)や収入印紙(租税公課)のうち、決算日に残っている未使用分を貯蔵品(資産)に振り替えます。借方 貯蔵品/貸方 通信費・租税公課。
⑧ 消費税と法人税等
税抜方式では、仮受消費税と仮払消費税を相殺し、差額を未払消費税(納付額)として計上します。借方 仮受消費税/貸方 仮払消費税・未払消費税。
法人税・住民税・事業税は、確定額を法人税等として計上し、中間納付済み(仮払法人税等)を差し引いた残りを未払法人税等とします。これらは第3問で組み合わせて問われます。簿記3級コーチの第3問ドリルと模試は、こうした決算整理を通しで解いて時間配分まで練習できます。
よくある質問
- 決算整理仕訳は何種類覚えればいいですか?
- 3級では、売上原価・貸倒引当金・減価償却・経過勘定の4つが特に頻出です。加えて現金過不足・当座借越・貯蔵品・消費税/法人税等を押さえれば、第3問の大半に対応できます。
- 「しいくり くりしい」とは何ですか?
- 売上原価を仕入勘定で計算するときの振替の語呂です。借方 仕入/貸方 繰越商品(期首)と、借方 繰越商品/貸方 仕入(期末)を表しています。
- 差額補充法とは?
- 貸倒引当金で、必要な見積額と、すでに残っている引当金との差額だけを繰り入れる方法です。3級ではこの方法が基本です。