簿記3級 減価償却の計算と仕訳|定額法と月割り
減価償却は、決算整理のなかでも計算を伴う分だけ手が止まりやすい論点です。ただ、考え方は一つしかなく、型も決まっています。
ここでは何のための処理なのかを押さえたうえで、3級で必要な計算と仕訳を整理します。
何をしている処理なのか
建物や備品は、買った年に全額を費用にしません。何年にもわたって使うものなので、その価値の目減りを、使う年ごとに分けて費用にします。これが減価償却です。
100万円の備品を5年使うなら、1年あたり20万円ずつ費用にしていく、という発想です。買った年だけ利益が大きく沈み、翌年から急に増える、という不自然さを避けるための処理でもあります。
定額法の計算
3級で使うのは定額法だけです。毎年同じ額を費用にします。
1年分の減価償却費=(取得原価−残存価額)÷耐用年数。近年の出題では残存価額をゼロとすることが多く、その場合は取得原価÷耐用年数で済みます。
期中に買ったものは月割り
年度の途中で取得した資産は、使った月数分だけ費用にします。1年分を出してから、月数/12を掛けます。
会計期間が4月1日から3月31日で、10月1日に取得したなら6か月分です。**取得した月を含めて数える**のが決まりで、ここを1か月ずらす間違いがよく起きます。
仕訳は間接法
3級では間接法で記帳します。資産の金額を直接減らさず、減価償却累計額という別の勘定に積み上げていきます。
(借)減価償却費 ×××/(貸)減価償却累計額 ×××。減価償却費は費用なので損益計算書へ、減価償却累計額は貸借対照表へ行きます。
減価償却累計額は資産のマイナス
累計額は貸方に増えていきますが、負債ではありません。資産から差し引くための勘定です。こういう勘定を評価勘定と呼びます。
貸借対照表では、備品の下に累計額を△付きで並べ、差し引いた金額(帳簿価額)が実質の価値だと示します。直接引いて1行にはしません。**いくらで買って、どれだけ減ったか**の両方を残すためです。
よくある間違い
失点のしかたはだいたい決まっています。
- 期中取得なのに1年分を計上してしまう
- 月数を取得の翌月から数えてしまう(取得月を含める)
- 2年目以降なのに、累計額から計算しようとする(定額法は毎年同じ額)
- 貸方を「備品」にしてしまう(間接法では累計額)
よくある質問
- 土地は減価償却しますか?
- しません。使っても価値が目減りしないと考えるためです。建物・備品・車両などが対象になります。
- 残存価額がゼロだと最後は0円になりますか?
- 計算上はゼロになります。実務では備忘価額として1円を残しますが、3級の出題では指示に従えば足ります。
- 定率法は3級で出ますか?
- 3級の範囲は定額法です。定率法(200%定率法)は2級で扱います。